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日本・フィリピン及び日本・インドネシア経済連携協定(以下「EPA」という。)に基づき、2008年度にインドネシア人介護福祉士候補者104人、2009年度に同189人及びフィリピン人介護福祉士候補者190人が、我が国に入国し、介護保険施設等において就労している。これは、我が国の介護保険施設等で3年以上の実務経験を経て、介護福祉士試験に合格することによってその資格を取得し、継続して日本に滞在・就労することを目的としてい る。介護保険施設等における両国介護福祉士候補者の就労は、日本人と同等の処遇が確保されており、質の高い介護サービス提供に寄与しているにも関わらず、現状において、これを継続するには種々の問題があることから、政府の対応について、以下質問する。
<中村質問1>
1 E PAによる看護師・介護福祉士候補者の受入れについて、政府は、フィリピン及びインドネシア政府に対しそれぞれ、「2年間で看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人、計1000人の受入れ」を約束している。
にも関わらず、平成2008・2009度のインドネシア人、同2009・2010年度のフィリピン人 各候補者の受入れ人数は、これを大幅に下回っている。このことに関して、政府の見解を示されたい。
<政府回答>
1について
政府としては御指摘のような約束をした事実はなく、御指摘の「2年間で看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人」という人数は、あくまでも、当初2年 間の受入れ最大人数として、フィリピン政府及びインドネシア政府に対して示したものである。
<中村質問2>
2 EPAによる介護福祉士候補者の受入れを行う介護保険施設等においては、受入れの要件として、「就労するフィリピン人及びインドネシア人介護福祉士候補者を除く介護職員の員数が、法令に基づく職員等の配置基準を満たすこと」とされている。同基準は、指定介護老人福祉施設の場合、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「運営基準」という。)により、「入所者3人に対し、看護・介護職員1人を満たすこと」となって いる。これを踏まえ、以下の点を質問する。
1)EPAによる介護福祉士候補者は、日本人の従事者と同等の処遇により雇用契約を交わしており、現に入所者等から良質の介護サービスを提供しているとの高い評価を得ているにも関わらず運営基準上の職員に含まれないのは不合理であると考 えるが、政府の見解を示されたい。
2)運営基準が求める「看護・介護職員」のうち介護職員については、特段の資格要件を定めていない。すなわち、介護福祉士はもとよりホームヘルパー1級又は2級の資格を有していない、いわゆる「無資格者」であっても介護業務に就くことができる 。また日本人以外でも、日本人の配偶者、日系人等の外国人の場合でも介護業務に就くことができ、いずれも運営基準上の職員として算定できるのである。しかるに、EPAによる介護福祉士候補者は、母国において看護師養成課程又は介護職員養成課程を修了している者を応募要件としているにも関わらず、運営基準上の職員として算定できないのは、極めて不合理であり、フィリピン及びインドネシア両国民に対する不平等差別待遇と言わざるを得ないが、政府の見解を示されたい。
3)介護福祉士国家試験を受けるためには、介護に従事する期間が3年以上必要とされており、EPAによる介護福祉士候補者は、介護保険施設等においてこの条件を満たすこととされている。このように実務経験が評価されるにも関わらず、運営基準上の職員の員数に含まれないのは、不合理であると考えるが、政府の見解を示されたい。
4)EPAによる介護福祉士候補者の受入れ施設における費用負担は、2人以上の受入れを原則とすることから、初年度に107万円に達する。この他に、受入れ施設では日本語習得のための便宜を図ること等により費用が発生している。
このように受入れ施設は、運営基準上の職員として算定できないために介護報酬上の対価を得ることができない状況にあるにも関わらず「人材育成・確保」に要する費用負担のみを課されていることについて、政府の見解を示されたい。
また、受入れ施設におけるこれらの費用負担を軽減するための対策を講ずる必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
<政府回答>
1)~3)について
経済連携協定(経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(2008年条約第2号)又は経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(2008年条約第16号)をいう。)に基づき入国した外国人介護福祉士候補者(以下「候補者」という。)は、介護福祉士の資格取 得に向けて、介護福祉士の監督の下で研修を行うものであり、介護保険法(1997年法律第123号)等に基づく職員等の配置の基準において、一般の介護職員と同様に取り扱うことは困難であると考えられるところ、このような扱いが「不平等差別待遇」や「不合理」であるとの御指摘は当たらない。
なお、2010年1月から2月にかけて厚生労働省が実施した「インドネシア人介護福祉士候補者受入実態調査」においては、「コミュニケーション不足により問題事例が発生した」、「日本人職員が平易な言葉でゆっくり話をしても、引き継ぎ等に支障がある」等といった回答があり、まずは、候補 者の日本語習得の支援に努めてまいりたい。
4)について
政府としては、候補者の受入れに伴い費用負担が発生することについて、事前に説明を行っており、受入れ施設はこのことを承知の上で申し込んでいるものと認識しているが、候補者の介護福祉士試験の合格に向けた学習を支援す るため、今年度から、候補者を日本語学校に通学させた場合等に受入れ施設に対する助成を行うとともに、日本語習得の支援を目的とした集合研修を実施することとしており、意欲のある候補者が1人でも多く介護福祉士試験に合格できるよう、これらの施策を推進してまいりたい。
<中 村質問3>
3 EPAによる介護福祉士候補者が受験する介護福祉士国家試験について、以下の点を質問する。
1)介護福祉士国家試験は、既に資格制度創設20年余を経ているにも関わらず、その合格率は50%台を推移している。
これに比べ、平成2010年に実施された介護関連領域の国家試験の合格率はそれぞれ、看護師89.5%、理学療法士92.6%、作業療法士82.2%、言語聴覚士64.8%となっている。我が国の超高齢社会を支える中核的資格である介護福祉士試験については、出題の在り方にも問題があると考えるが、政府の見解を示されたい。
2)EPAによる介護福祉士候補者 は、介護業務に従事しながら日本語の習得に励み、4年目に最初で最後の国家試験を受けることになる。日本語を母国語としない者が日本語により試験を受けるハンディに考慮して、少なくとも常用漢字にない用語に振り仮名を付けるか又は平易な言葉に言い換えるとともに、受験時間にも配慮 し、不合格の場合においても翌年度受験まで在留を延長するといった措置を講ずるべきでないか。
3)日本語を母国語としない者については、一定の日本語能力、コミュニケーション能力を検定することにより、在留期間の延長を図るべきでないか。
<政府回答>
1)について
御 指摘の国家試験の受験資格の要件等はそれぞれ異なっており、介護福祉士試験の合格率が看護師国家試験等の合格率よりも低いことのみをもって、介護福祉士試験の出題の在り方に問題があるとは言えないと考えている。
なお、介護福祉士試験の在り方については、2008年12月に「社会福祉士 及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会」において取りまとめられた提言も踏まえ、現在、介護福祉士試験の質をより一層高めるための方策について、検討しているところである。
2)~3)について
介護福祉士試験の問題文については、常用漢字以外の漢字には、原則として既 に読み仮名を付しているところである。
また、お尋ねのように平易な言葉に言い換えることについては、介護福祉士試験委員会で検討していくこととしている。
介護福祉士試験は、十分な日本語能力を有していることを前提として行うものであり、現時点において、お尋ねのように受験時 間を延長することは考えていない。
また、現時点において、お尋ねのように在留期間を延長することは予定していない。
いずれにせよ、介護の現場においては、医師、看護師及び介護職員等が、相互に連携して業務を行うとともに、利用者又はその家族等と密接に意思疎通を図る必要があ ることから、そのための日本語能力は不可欠である。
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