タイ
バンコクにて(1/13・14)
<会談概要>ウィラボン洪水復興戦略委員会委員長(元副首相)
- 中村:
- 東日本大震災に際しての貴国からの手厚い支援に心から御礼申し上げるとともに、洪水被害に対し、心からお見舞い申し上げる。災難から一転し、両国が協力のもと復興を進め、一層の発展と友好の深化が促されることを願う。
貴国はODAからすでに卒業するほど、順調に発展しているが、今回の洪水のような大規模災害の復興のためには有償・無償資金援助、技術協力など、全面的に支援したい。大使館やJICAと協力し、供与済みの10億円の無償資金援助の着実な実施いただき、さらなる支援の必要があれば速やかに連絡願いたい。
- ウィラボン洪水復興戦略委員会委員長:
- 洪水被害に対する手厚い支援に感謝する。タイは友好国である日本の投資家の不安解消のため、復興に尽力する。JICAのチャオプラヤ川洪水対策マスタープランを基本として水資源管理を行う。復興対策予算や被災企業の支援策が決定されている。日系企業のニーズを反映しながら復興を進めていくので、日本からタイへの投資が継続されるようよろしくお願いしたい。
<会談概要>スラポン外務大臣
- スラポン外務大臣:
- タイ訪問を歓迎するとともに、洪水被害への支援に感謝する。洪水被害や支援プロジェクトの視察をすると聞いている。
- 中村:
- 現場を見て、無償10億円をはじめ、技術、プラン、財政援助など政府に持ち帰りたい。
- 外務大臣:
- 日本からの援助はインフラ整備や通信ネットワーク、地域連結性向上に役立てたい。650億ドルのインフラ整備が予定されており、日本政府にも援助をお願いしたい。
- 中村:
- 気象予測が重要であり、メコン地域全域で行っていくことが必要であり、日本も努力したい。アユタヤの遺跡も浸水し、修復が必要だ。
- 外務大臣:
- 速やかに修復したい。2020年万国博覧会をアユタヤに誘致したく、日本のサポートをお願いしたい。昨年のタクシン元首相訪日は議員の招聘か?
- 中村:
- 日タイ関係強化のために数人の議員により、受け入れ努力をした。
- 外務大臣:
- 感謝する。タクシン内閣が努力したカンボジアとの関係もよくなるだろう。
- 中村:
- 日本はASEAN・タイを大切に思っている。第4次補正予算、2012年度には予算にはタイの復興や日本の被災企業に対する予算がある。24日招集の国会では、成立と執行に向け頑張りたい。
- 外務大臣:
- タイはASEANの真ん中にいる。連結する道路や通信の連結により、日本ASEAN関係をよりよいものにしていきたい。
<会談概要>キティラット副首相
- 中村:
- 洪水のタイと震災の日本、これから手を携えて復興しようと、議員団が参った。被災時にはポンプ車10台をはじめ、緊急無償10億円などで応援したが、今後はマスタープランに基づく復興が重要だ。災害防止のために気象の把握を日本とタイで協力してつくっていきたい。被災した日系企業450社がこれからタイを地元として頑張れるよう、両国間で協力したい。
- キティラット副首相:
- (1)政府借入 (2)復興とインフラ再構築に関する500億バーツのファイナンス(3)300億バーツの低利融資 (4)再保険に関する500バーツ(保険金は5000億バーツ)のファンド創設の4点を閣議決定し、今月末には始める。隣国に囲まれ直接には台風被害を受けにくいチャオプラヤ平野の安全性を信じている。タイ治水マスタープランはできているので治水工事もすぐ着工できる。ダムも遊水池も必要であり、安心の投資先にしていきたい。2月には日本を訪問し、時間が許せば札幌の雪まつりに行きたい。
- 中村:
- カーナビを買おうとして、タイ洪水で製品がないと言われた。そのくらい日本とタイは強い関係にある。世界のどの国の企業も安心して操業できる地をつくってほしい。異常気象の克服も必要だが、ODAがしっかりできるよう努力する。
- 副首相:
- 日本も困難なときにもかかわらず、様々な支援をいただき感謝する。
中村:目的の決まったプログラムに予算を獲得していきたい。タイの復興財源は24日からの国会で審議される第4次補正と12年度予算に入っている。
<会談概要>スカムポン運輸大臣
- 中村:
- 大震災への協力に感謝する。また、貴国の大洪水による被害を残念に思う。地球温暖化に起因する異常気候による災害は、両国共通の問題、気象観測が重要だ。観測衛星による分析も必要。今朝も地下鉄、国鉄に試乗したが、復興に関しては、10年先を見据えた交通インフラを考え、道路・鉄道・チャオプラヤ川を利用した交通体系を20年、30年の戦略的視点でつくらねばならない。日本の鉄道技術、道路交通技術、マスタープランは世界一。応援、連携したい。
- スカムポン運輸大臣:
- 同感だ。JICAの資金・技術支援を受け、バンコクに今後4年間で10路線建設する。高速鉄道を鉄道に関してはまずコラートまで建設したい。日本をはじめ、韓国、中国、欧州、様々な国から売り込みがある。東北新幹線に乗車し、日本の鉄道技術の高さを実感している。今後も様々な面で日本と協力していきたい。さらに2015年に予定のASEAN経済統合が重要だ。鉄道の線路幅の共通化など、連結性の向上が急務。タイの地勢学上の利点を活かしてハブとなるよう開発を進めたい。物流面での連結性を高めるプロジェクトとして、ミャンマーのダウェイに深水港をつくる計画がある。タイからダウェイへの陸の輸送網をつくることでマラッカ海峡を通過せずにすむことから重要なプロジェクトだ。これらは日本の協力無しには進まないので支援をお願いしたい。
- 中村:
- ミャンマーではテイン・セイン大統領がティワラ港の次はダウェイだと、ラオスでもサムサワート副首相が海につながる道路鉄道の重要性に言及した。私たちも現地視察し、ODA予算も増額しているので、2015年に向けた連結性強化に努めていきたい。都市交通も含め、協力してすばらしい交通インフラをつくっていきたい。
■ODA案件視察

地下鉄ブルーライン試乗(有償資金協力)
国鉄試乗(有償資金協力)
●首都水道公社バンケン浄水場(有償資金協力+技術協力)

首都水道公社総裁より、日本からの数十年にわたる協力と、洪水時の支援への謝意と浄水場の概要と洪水時の対応についての説明を受け、浄水設備を視察しました。中村からは、今後の人口増に備え10~20年の長期的視点で政策を考えるべきと意見を述べました。
アユタヤにて(1/14)
<ロジャナ工業団地日本企業洪水被害視察>
昨年の洪水により、ニコン、ソニーなどのデジタル一眼レフカメラ工場やハードディスク駆動装置(HDD)の部品工場、ホンダの東南アジア最大の生産拠点などが、10月初旬から操業停止に追いこまれ、日本の空洞化の現実を突きつけられたものでした。洪水被害の大きかったアユタヤ近郊のロジャナ工業団地で、ホンダ工場・ニコン工場を視察し、ロジャナ工業団地公社関係者と意見交換。次の雨期までに早急に輪中堤を築く必要があるが、資金的時間的に大変厳しく、またロジャだけでなく、周辺の工業団地も洪水対策を取らなければ、アユタヤのイメージ低下はもとより、サプライチェーンに影響を受けるという切実な訴えがありました。
<ホンダ工場視察>
洪水時には日本からの排水ポンプ車により排水期間が短縮され助かったとのこと、4月初めの工場復旧をめざし、工場では冠水した機材を入れ替え中でした。被災企業がタイ国外に出て行かない様対策を対政府関係者にお願いして来たこと、日本政府からも必要な支援をしたい旨伝えました。
<ニコン工場視察>

340人を日本での代替生産要員として派遣できたのはありがたかったとのこと、今後のリスクヘッジとしてタイ国内の洪水被災歴のない場所も検討しているとのことです。デジタル一眼レフカメラの9割、レンズの6割をタイ工場が担っていたそうですが、止まっていた生産も今年に入り一部再開、出荷量を3月末までには被災前の水準に戻すよう現場は頑張っています。
一眼レフ市場は新興国先進国ともに好調であり、タイ工場復旧が待たれます。ホンダのタイ工場も新年度の再開をめざしていますが、撤退や縮小を検討する企業もあり、日タイ両国の緊密な協力による支援と再発防止に向けた洪水対策の徹底が必要です。
■懇談
国際連合アジア太平洋経済社会委員会村田次長
クルアイナムタイ病院ウライスリ理事長
(4/5)